インド式マリッジブルー (海外文学セレクション)
マリッジブルーに陥っているのは、16歳の少年。彼は13歳のとき、父親から17歳になったら結婚させると宣言されました。それがパンジャブ人だから。少年・マニーの二人の兄、二人の姉も父親の思うとおりの、パンジャブ人と若くして結婚しています。一家はイギリスに住むインド系。父親は工場労働者。兄たちも高校を卒業すると単純労働についています。けれど、マニーはリヴァプールFCのトップ・ストライカーになって、イギリスで初めてのアジア人ポップ・スターになって、ベストセラー作家にもなって、スーパーモデルとデートして、アカデミー賞を取る夢があります。パンジャブ方式を貫く一家と、自立したがっている少年マニーのジェネレーション・ギャップの戦いの小説です。さらに父親たちはひどい人種差別者。民族の恋愛や結婚に、絡み合う人種の問題。トラディショナルな考えとドメスティック・バイオレンス。一方、10代のマニーが直面する恋愛、セックス、ポップカルチャー。さらに友人の若くしての妊娠。小説の中盤、一家でインドに里帰りするのですが、その情景が鮮やか。インドの喧騒、田舎ののどかさを描きながら、モノがなくても生きていけることをマニーに教えてくれます。そしてここの問題はカースト制。さまざまな問題をアップテンポに盛り込み、マニーの気持ちを素直に表現した、とってもノリのいい小説。翻訳者の力量に感謝。